医師にはその過重な業務や責任の重さから、心身に強い負担を感じている方が多くいます。
現在、自分の身に起こっているうつやバーンアウト(燃え尽き症候群)をきっかけに、これからの働き方を見直したいと考える先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただし、体調が不安定なまま焦って動くと、ミスマッチを招くこともあります。大切なのは、主治医や産業医など専門家に相談しながら、自分のペースで転職を進めることです。
本記事では、独自の調査データをもとに医師のメンタル不調の実態を整理しつつ、現職に知られずに転職活動を進める方法や休職歴の伝え方、再発を防ぐキャリアパスの選択肢を提示します。
目次
<本記事のまとめ>
- 多くの医師が強いストレスやバーンアウトを経験しており、メンタル不調は個人の弱さではなく環境要因によるところが大きいとされている
- ストレスを理由に休職・転職した医師の多くが、その判断を前向きに評価している
- 個人情報保護法により、応募先が本人の同意なく現職へ休職歴などを確認することは原則できないので安心
- 休職歴の伝え方や再発を防ぐ求人選びは、動くタイミングも含めて主治医・産業医や匿名対応の転職エージェントに相談しながら進めるのがおすすめ
※心身の不調が続いている場合は、まず主治医や産業医、お住まいの地域の専門相談窓口へご相談ください。本記事は転職活動に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療に関する助言を行うものではありません。
医師はうつやバーンアウトに陥りやすい職業?調査結果から分析

はじめに医師はうつやバーンアウトに陥りやすい職業であることを、以下3つの項目で解説します。
1.医師の7割以上が強いストレスを経験している
2.医師の主なストレス要因は「人間関係」と「業務量」
3.バーンアウト(燃え尽き)も4割以上の医師が経験している
医師の7割以上が強いストレスを経験している
「エムステージエージェント」が医師353名に実施した独自調査では、7割以上が仕事上で強いストレスを感じていると回答しています。
Q:現在、仕事上でストレスを感じていますか?

このうち「かなり強く感じている」と答えた医師は20.1%にのぼり、強いストレスを抱える医師は決して少数派ではないことがうかがえます。
こうした実態を踏まえると、ストレスを感じているからといって「自分が弱いからだ」と責める必要はありません。状況を客観的に見つめ直すことが、うつの方が転職を成功させるための出発点となります。
医師の主なストレス要因は「人間関係」と「業務量」
同調査では、ストレス要因の上位2つが「職場の人間関係(回答数:130)」と「業務量の多さ(回答数:120)」でした。
Q:仕事でストレスを感じる理由として、当てはまるものを教えてください。(複数回答可)

この結果から、メンタル不調の背景には個人の心の強さよりも、人間関係や長時間・過重労働といった環境要因が関わっているケースが多いと考えられます。
要因が環境にあるのであれば、働き方そのものを見直すことは合理的な選択肢の一つになり得ます。過去の環境にとらわれず、自分に合った働き方を探すことを念頭に、転職を進めていきましょう。
バーンアウト(燃え尽き)も4割以上の医師が経験している
医師に多いメンタル不調として、バーンアウト(燃え尽き症候群)があります。
医師584名を対象とした調査結果によると、約42%の医師がバーンアウトを経験したと回答しています。
Q:医師として働き始めてから、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」と思われる状態になったことはありますか?

なったタイミングとしては「専門医取得後」「初期研修時」「後期研修時」が多く、この3つで全体の56.4%を占めました。
Q:「燃え尽き症候群(バーンアウト)」になったタイミングやきっかけを教えてください。(複数選択可)

また、バーンアウトの原因として多かったのは、以下の5つです。
1.業務量の多さ
2.長時間労働
3.十分な休日を確保できない
4.上司や先輩医師との人間関係
5.給与が低いなど経済的な理由
Q:「燃え尽き症候群(バーンアウト)」になった原因は、どんなことだと思いますか?

「自分の頑張りが足りないから」と捉えず、バーンアウトは誰にでも起こり得る状態として理解しておきましょう。
医師がうつやバーンアウトで転職を選ぶのは「逃げ」ではない

メンタル不調をきっかけに転職を考えると、「これは逃げではないか」と感じてしまう先生もいらっしゃいます。
しかし、実際には多くの医師が、メンタル不調を機に転職しています。
ストレスが原因で休職・転職した医師は「4人に1人」
「エムステージエージェント」の独自調査では、仕事上のストレスやメンタル不調が原因で「休職・転職」をした医師は、約4人に1人(24.5%)でした。
内訳は、それぞれ以下のとおりです。
- 転職したことがある:17%
- 休職したことがある:5.5%
- 休職・転職の両方をしたことがある:2%
Q:仕事上のストレスや心の不調が要因で休職をしたり、転職したりした経験はありますか?

メンタル不調をきっかけに環境を変えた医師は、決して珍しくありません。転職は「逃げ」ではなく、自分を守るための選択肢の一つと捉えましょう。
休職・転職した医師の96.4%が「良い判断だった」と回答
「エムステージエージェント」の独自調査では、ストレスが原因で休職・転職した医師の96.4%が「非常に良い判断だったと思う(62.2%)」または「まあ良かった・仕方なかったと思う(34.2%)」と回答しています。
Q:休職や転職をしたことについて、今どう感じますか?

一方で「あまり良い判断ではなかった(0.9%)」「非常に後悔している(2.7%)」と答えた医師は、全体の3.6%にとどまりました。環境を変えたことを前向きに評価している医師が多いことがうかがえます。
ただし、後悔のない選択にするためには、しっかりと準備を整えてから転職活動をすることが大事です。気持ちが沈んでいるときほど、焦って職場や職種を選ばないよう注意しましょう。
転職活動の具体的なタイミングについては、主治医や産業医に相談しながら見極めることが重要です。
バーンアウトからの回復に役立つのは「転職」や「業務量を減らす」
「エムステージエージェント」の独自調査では、バーンアウトからの回復に役立つ方法としては「転職」や「業務量を減らすこと」が多く挙げられました。
次いで「勤務時間・日数を減らす」も多く挙げられています。
Q:「燃え尽き症候群(バーンアウト)」から回復するために、役立つと思うことはありますか?(複数選択可)
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上位3つは、バーンアウトの原因として多かった「業務量の多さ」「長時間労働」「休日の確保」といった課題に直接働きかける手段です。
負担の原因を根本的に取り除くことが、メンタル不調の回復につながりやすいと考えられます。
医師のうつは応募先に知られずに転職活動できる

法律上の仕組みを理解しておけば、応募先にうつがバレることを過度に心配する必要はありません。その理由を、以下3つの項目で解説します。
- うつによる休職を隠して転職活動しても、無断で現職へ確認は入らない
- リファレンスチェックは拒否できる
- 非公式ルートから情報が伝わる可能性に注意
うつによる休職を隠して転職活動しても、無断で現職へ確認は入らない
個人情報保護法では、現職が本人の同意なく休職歴や勤務状況などを第三者へ提供することは、原則として認められていません。
そのため、応募先が黙って現職に連絡し、メンタル不調や休職の事実を聞き出すような行為は、正規のルートでは行えないと考えてよいでしょう。
リファレンスチェックは拒否できる
採用過程で実施されることのあるリファレンスチェック(推薦者への照会)は、本人の同意が前提であり、求められても拒否する権利があります。
仮に同意する場合でも、応募先に相談すれば、推薦人を自分で指定できます。うつによる休職が応募先にバレたくなければ、現職ではなく、以前の勤務先や信頼できる第三者を推薦先に選ぶことが可能です。
メンタル不調を知る現職の上司を推薦人にする必要はないため、休職の事実が伝わる可能性を抑えられます。
非公式ルートから情報が伝わる可能性に注意
正規のルートからうつがバレる心配はないものの、人的ネットワークを介して情報が伝わる可能性がある点を押さえておきましょう。
医療業界は狭く「〇〇先生、最近どう?」といった軽い会話を通じて、非公式に情報が伝わる可能性があります。とくに、個人で複数の病院に直接応募するほど、情報は拡散しやすくなります。
情報が広がるリスクを下げるには「誰に、どのような情報を伝えるか」をなるべく自分でコントロールしましょう。
そのためには、情報の秘匿性が高い転職エージェントを経由して活動を進めるのが、現実的な方法といえます。
うつによる休職を転職先に伝える際のポイント3選

うつによる休職を転職先に伝える際に重要なポイントは、以下の3つです。
- まず療養を優先する
- 「働ける状態であること」と「希望する配慮」を分けて伝える
- 転職エージェントには正直に状態を伝える
1. まず療養を優先する
体調が不安定なうちは、転職活動よりも療養と受診を優先しましょう。動き始めるタイミングは、かかりつけの主治医や産業医と相談しながら決めてください。
焦って活動を始めると判断力が低下し、条件の見極めを誤りやすくなります。「いつ動くか」を専門家とともに決めることが、うつの再発を防ぐための第一歩です。
急いで転職すると、かえって負担の大きい職場に就職してしまう可能性もあります。最適なタイミングを、じっくりと見極めましょう。
2. 「働ける状態であること」と「希望する配慮」を分けて伝える
面接で、病歴そのものを詳しく語る必要はありません。採用側が知りたいのは「入職後に支障なく働けるかどうか」なので、まずはその点に答える意識を持ちましょう。
治療を続けている場合は、主治医から就労に問題ないと判断されている旨を示しましょう。診断書を提出すると、相手も評価の前提を持ちやすくなります。
また、すでに通院を終えている場合は「不調の引き金は前職の働き方にあり、その要素がなくなれば支障なく勤務できる」と、事実ベースで説明すれば十分です。
なお、以下のように必要な労働上の配慮については、応募先に具体的に伝えてください。
- 当直・夜勤の上限
- 時間外労働の上限
- 精神科への通院スケジュール
- オンコールについて など
弱みの告白としてではなく「無理なく続けられる環境を選ぶための条件」として整理して伝えると、印象を損なわずにミスマッチも避けやすくなります。
3. 転職エージェントには正直に状態を伝える
転職エージェントの専任コンサルタントには、休職やメンタル不調の事実を正直に共有してください。詳細に情報を伝えておけば、応募先へ伝える範囲やタイミングを一緒に考えてもらえます。
また、正確な情報共有により、事実を踏まえたうえで「当直なし」「時短勤務」など再発を防ぎやすい求人を選び、角が立たない形で条件交渉を代行してもらうことも可能です。
一人で抱え込むよりも、守秘義務のあるプロに相談するほうが精神的にも負担が軽くなります。そのためにも、匿名・秘密厳守で相談できる転職エージェントを選びましょう。
うつやバーンアウトの再発を防ぐキャリアパスの選択肢

医師としての働き方やキャリアの選択肢を広げることで、負担の少ない環境を選びやすくなります。
ここからは、医師がうつやバーンアウトの再発を防ぐためのキャリアパスについて解説します。
当直なし・外来中心・非常勤など負担の少ない求人を選ぶ
当直やオンコールのある働き方は生活リズムが不規則になりやすく、心身の負担につながりやすくなります。
うつで休職・退職した方は、まず以下のような条件で求人を探し、無理のない働き方で復職することを検討しましょう。
- 当直なし
- 外来中心
- 日勤のみ
非常勤やアルバイトなど、負担を最小限に抑えた形で復職する選択肢もあります。弊社の独自調査では「アルバイトが気分転換になった」という声も寄せられています。
いきなりフルタイムで働くのではなく、回復の段階に合わせて働き方を選ぶように心がけてください。求人元の実務量や残業の状況を確認するには、転職エージェントの活用が役立ちます。
産業医・健診医など臨床以外も選択肢に入れる
働き方を根本から見直したい場合は、臨床以外のキャリアも選択肢に入れてみましょう。
企業の従業員の健康管理を担う「産業医」や、予防医療を中心とする「健診医」は、基本的に当直やオンコールがありません。
土日祝日が休みになることも多く、生活リズムを立て直しやすい働き方となります。
ほかにも、製薬会社のメディカルドクターや行政の公衆衛生医師など、医師免許やこれまでの知見を活かせるキャリアパスは多岐にわたります。
「医師=臨床」という前提を一度手放してみることが、心身の余裕を取り戻すきっかけになるかもしれません。
ただし、非臨床の求人は一般に出回りにくく、非公開求人で出ることも多いです。そのため、企業とのつながりを持つ転職エージェントに相談し、選択肢を広げてもらうのがおすすめです。
うつ・バーンアウトから転職先を選ぶために、エージェントに登録すべき3つの理由

メンタル不調から転職先を選ぶために、転職エージェントを活用すべき理由は以下の3つです。
- 体調や休職理由を正直に話せる相手になる
- 人間関係や雰囲気などのミスマッチを内部情報で防げる
- 条件交渉を角の立たない形で代行してくれる
1. 体調や休職理由を正直に話せる相手になる
エージェントの専任コンサルタントには守秘義務があり、休職やメンタル不調の事実を応募先へそのまま伝えることはありません。
そのため、現在の体調や休職理由を、正直に話せる良き理解者となってくれます。
また、自分の事情を理解したうえで求人を選んでもらえるため、入職後に「自分に合わない職場だった」というミスマッチを避けやすくなります。
事実を打ち明けられる相手がいることが、転職活動の精神的な支えになってくれるでしょう。
2. 人間関係や雰囲気などのミスマッチを内部情報で防げる
「エムステージエージェント」が行った、医師352名を対象とした独自調査では、転職後の失敗としてもっとも多かったのが「職場の人間関係・雰囲気が合わない(回答数:72)」ことでした。
Q:医師が転職後に「失敗した」と感じたこと(複数回答可)

こうした見えにくい条件は、メンタル面にも影響しやすいため無視できません。求人元の離職率や院内の雰囲気、指導体制といった情報を重視して転職したいなら、転職エージェントの利用がおすすめです。
また「エムステージエージェント」のように面談へ同行してもらえるエージェントであれば、聞きにくい質問を代わりに確認でき、第三者の目線で職場の雰囲気などを見極めてもらえます。
3. 条件交渉を角の立たない形で代行してくれる
採用側が1番知りたいのは「入職後に支障なく働けるか」という点です。この点を転職エージェントに相談すれば、現在の状況を整理し、前向きな条件交渉につなげるサポートを受けられます。
「通院日の確保」や「当直の上限」といった必要な配慮についても、本人に代わって角が立たない形で応募先へ交渉してもらえます。
また、年収や勤務日数の調整も第三者が相場を踏まえて代行するため、関係を損なわずに進めやすくなるため安心です。
一人で悩む前に転職エージェントに相談し、専任コンサルタントと一緒に少しずつ転職活動を進めましょう。
医師のうつによる転職に関するよくある質問

メンタル不調を経験した医師の転職活動について、よくある質問にお答えします。
うつ病・休職の事実は履歴書に書くべき?
休職期間を履歴書に記載する義務はありません。
また、面接などで空白期間について問われた際は「療養していた」と簡潔に伝えるだけで十分です。自ら、詳細な病名を語る必要はありません。
ただし、聞かれた内容について事実と異なる説明をすると、経歴詐称とみなされる可能性があります。事実に反する記載や説明は、くれぐれも避けましょう。
休職中に転職活動をしてもいい?
休職中の転職活動そのものは、労働者の権利であり禁止する法律もありません。
ただし、体調が不安定な状態では冷静な判断が難しく、焦りから条件の合わない職場を選んでしまうリスクが高まります。そのため、まずは心身の回復を最優先にしましょう。
主治医や産業医に相談したうえで、活動を始める適切なタイミングを見極めることが大切です。
転職先に診断書や通院歴を提出する必要はある?
一般的な採用選考において、応募先から過去の通院歴や診断書の提出を求められることは、原則としてありません。
入職時に健康診断書の提出を求められることはありますが、一般的な健康診断の項目から、過去のうつや休職の病名が直接伝わることはないとされています。
ただし、入職後の業務において定期的な通院が必要など職場の配慮が欠かせない場合は、入職前後に適切な範囲で事情を伝えておくのが無難です。
転職活動が今の医局や上司にバレることはない?
個人情報保護法の観点から、本人の同意なく応募先が無断で現職や前職へ在籍確認を行う「前職調査」は、原則として認められていません。
一方で医療業界は狭く、学会や大学の同窓、院長同士の個人的なつながりなど「非公式ルート」で情報の伝わりやすい点には注意が必要です。
転職活動がバレないためには匿名性の高い転職エージェントを経由することが、リスクを抑える方法の一つといえます。
【まとめ】医師のうつによる転職は「一人で抱え込まない」事が大事

各種調査が示すとおり、強いストレスやバーンアウトは多くの医師が経験するものであり、その背景には人間関係や過重労働といった環境要因が関わっているとされています。
メンタル不調を理由に働き方を見直すことは、決して「逃げ」ではありません。自分の心身や将来を守るための、前向きな選択肢の一つです。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。体調が優れないときは、まず主治医や産業医など専門家に相談し、動くタイミングを見極めましょう。
そのうえで、エージェントなど信頼できる相手と相談しつつ転職活動を進めることが安心につながります。
「エムステージエージェント」では、匿名・秘密厳守でのご相談に対応しており、一人ひとりの状況に寄り添いながら、心身の負担に配慮した働き方を一緒に考えます。
メンタル面の不安を抱えながらの転職に悩んでいる先生は、ぜひ以下のフォームからお気軽にご相談ください。