医師転職の内定後の流れと入職までにやることを時系列で解説

医師の転職で内定が出たあと、「入職まで何を、どの順番で進めればいいのか」と迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

医師の内定後は「労働条件の確認 → 内定への返事 → 入職日の決定 → 退職(退局)交渉・引き継ぎ → 入職準備」の順に、時系列で進めるのが基本です。

医師の転職は在職中の調整や医局の退局を伴うことが多く、相手のある工程ほど計画どおりに進みにくいため、内定が出た時点から逆算して動くことが欠かせません。

本記事では、内定後に医師がやることを時系列で整理し、雇用契約書のチェックポイント、退職・退局交渉や引き継ぎの進め方、入職準備の書類まで詳しく解説します。

<本記事のまとめ>

  • 内定後は「条件確認→返事→入職日決定→退職交渉→入職準備」の順に進める
  • 内定から入職までは2〜3か月が目安で、退局を伴うとさらに長引きやすい
  • 雇用契約書は年俸・当直手当に加え、年俸制・歩合制の算定基準まで書面で確認する
  • 退職は無期雇用なら法律上2週間で可能(有期契約は要確認)。医局退局は半年〜1年前の申し出を求められることもある

医師の内定後から入職までの流れ5ステップの全体像

医師の内定後は、次の5ステップを時系列で進めます。

  1. 採用条件通知の受領と労働条件の確認
  2. 内定への返事(承諾・保留・辞退)
  3. 入職日の決定
  4. 現職・医局への退職交渉と引き継ぎ
  5. 入職準備(書類・手続き)

内定(採用条件通知)から入職までの期間は、一般的に2〜3か月が目安です。

ただし医師の場合は在職中の調整や医局の退局を伴うことが多く、退局・引き継ぎの事情で前後しやすい点に注意してください。

退職交渉・引き継ぎ・入職日の調整といった「相手のある工程」は、計画どおりに進まないことも少なくありません。内定が出た時点から逆算してスケジュールを組むことが、スムーズな入職につながります。

【ステップ①】採用条件通知を受け取り、労働条件を確認する

内定が出たら、提示された労働条件を書面で確認することが最初のステップです。

医師の「内定」と労働条件・雇用契約書の関係

医師転職で「内定」というと、医療機関から採用条件通知書(労働条件通知書)が示されたタイミングを指すことが一般的です。

内定の連絡は電話やメールで来ることが多く、細かな労働条件は別途書面で届くのが通常です。条件面の書面がなかなか届かない場合は、採用担当者に依頼し、労働条件を確認してから返事をしましょう。

労働条件を確認しないまま入職を決めると、後から「聞いていた条件と違う」というトラブルにつながりやすいため、返事の前に必ず書面で確かめてください。

労働条件・契約書で必ず確認したい項目

求人票・面接・条件交渉で聞いた内容と、書面の条件が一致しているかを照合します。とくに確認したいのは以下の項目です。

  • 基本給・各種手当・賞与・年俸の内訳
  • 当直・オンコールの回数と手当
  • 診療科・担当業務の範囲
  • 勤務日数・休日
  • 社会保険・退職金規程

年俸制や歩合制(とくに美容・自由診療系)の場合は、額面の数字だけで判断しないことが重要です。次の点を契約書で確認しておきましょう。

  • 年俸に含まれる時間外・当直の扱い
  • 歩合の算定基準と最低保証の有無
  • 契約期間・更新条件

条件・業務内容の事前確認は、入職後のミスマッチ防止に直結します。エムステージエージェントの会員医師アンケートでも、転職で後悔した医師が「また転職するなら事前に確認しておきたいこと」として、1位「実際の仕事内容」72.5%、2位「実際の給与額・手当額」56.3%、3位「募集背景や離職率」41.3%を挙げています。

Q:また転職する機会があったら、事前に確認しておきたいことは?

出典:医師が転職で後悔したことに関する調査(Dr.転職なび・エムステージエージェント/エムステージ・会員医師352名・2022年10月調査)

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【ステップ②】契約内容を確認して内定に返事をする

内定への返事は、回答期限内に行うのが原則です。

期限の指定がなければ1週間以内の回答が目安で、早めの返答が好印象につながります。

エージェント経由の場合は、返事の窓口や期限をキャリアアドバイザーに確認し、行き違いを防いでください。

内定を承諾する場合

先方の指定方法で回答し、指定がなければメール・電話のどちらでも問題ありません。電話の場合は診療時間外を選びます。

承諾後は、入職日の決定と、入職までに準備する書類の確認へ進みます。承諾書・契約書の返送が必要なときは速やかに対応しましょう。

内定を保留したい場合

他院の選考結果を待ちたいなどで回答を延ばす場合は、お礼を述べたうえで、具体的な回答日を示して延長を相談します。

延長は長くても1週間〜10日程度が一般的です。先延ばしが過ぎると内定取り消しにつながることもあるため、提示された期限内に結論を出してください。

内定を辞退する場合

辞退はできるだけ早く連絡します。先方は受け入れ準備や他候補者の選考に動くため、遅れるほど迷惑がかかります。

狭い医師業界では評判が伝わりやすいので、辞退の連絡は誠実に行いましょう。エージェント経由なら、担当者に早めに相談するのが無難です。

【ステップ③】入職日を決める

入職日は転職先と相談して決めますが、医師の場合は現職の退職日が固まらないと確定しにくいのが実情です。

退職日が確実に決まってから入職日を確定するのが原則で、見切り発車で「○月から働けます」と伝えるのは避けてください。

面接時に入職可能な時期を伝えていることが多いため、内定後はそれを踏まえて調整します。面接で伝えた時期と大きくずれると、印象がよくありません。

退職日と入職日の間が空くと、健康保険・年金の切り替え手続きを自分で行う必要が生じます。退職日を入職日の前日に設定できると、手続きがスムーズです。

なお、新規開業クリニックのオープニング募集などでは、求人時点から入職日が指定されているケースもあります。指定日に入職できない事情があれば、選考段階で伝えておきましょう。

【ステップ④】現職・医局への退職交渉と引き継ぎを進める

内定を承諾したら、入職日から逆算して退職交渉を始めます。

退職・退局はまず直属の上司への申し出から始める

退職の意向は、まず直属の上司に伝えるのがマナーです。退職理由は前向き・簡潔にまとめ、転職先の医療機関名は伝えないのが無難です。

法的には、期間の定めのない(無期)雇用であれば、退職の申し出から2週間で退職できます(民法第627条第1項)。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法 | e-Gov 法令検索

任期付き(有期)契約の場合は、契約期間の途中で辞める際のルールが異なるため、契約内容を確認してください。いずれの場合も、患者の引き継ぎや診療体制の調整があるため、就業規則の定めも踏まえ、円満退職を前提に早めに相談するのが現実的です。

医局に所属している場合は、退局の申し出を半年〜1年前に求められるケースがあります。後任の派遣調整や、年度替わり(4月・10月)の人事に合わせる前提で、早めに動きましょう。

エムステージエージェントが医局を辞めた医師205名に行った調査では、退局時に「引き留めにあった」と回答した医師が42.0%にのぼりました。退局を伴う場合は、引き留めや交渉に要する期間を必ずスケジュールに織り込んでおく必要があります。

Q:医局を辞めるとき、引き留めにあいましたか?

出典:医局を辞めた医師205名に聞く「退職交渉のリアル」(Dr.転職なび・エムステージエージェント/エムステージ・会員医師205名・2023年6月調査)

後任確保・引き継ぎは早めに計画する

退職日が固まったら引き継ぎに入ります。担当患者が多い場合や一人診療科の場合は後任確保から始まり、想定以上に時間がかかることがあります。

カルテ・サマリーの整理や患者への説明を丁寧に行うことが、円満退職への近道です。

エムステージエージェントの会員医師アンケートでは、過去の引き継ぎに「不満を感じた経験がある」医師が60.9%にのぼり、最多の不満は「カルテ記載が不十分なこと」でした。後任を困らせない引き継ぎを、余裕を持って計画しましょう。

Q:異動や退職をする方からの引継ぎで、不満を感じたことはありますか?

出典:業務や患者様の引継ぎに関するエピソード調査(Dr.転職なび・エムステージエージェント/エムステージ・会員医師348名・2023年1月調査)

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【ステップ⑤】入職に向けて必要書類・手続きを準備する

入職に向けては、退職先から受け取る書類と、転職先へ提出する書類の両方を準備します。

退職する職場から受け取る書類

転職先での手続きに必要なため、受け取り漏れがないよう確認したい書類は以下のとおりです。

  • 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳・基礎年金番号通知書)
  • 源泉徴収票
  • 雇用保険被保険者証

源泉徴収票は、退職後1か月以内に交付されるのが一般的です。年末調整に間に合わない場合は、転職先に伝えておきましょう。

転職先に提出する書類

転職先へ提出する書類は医療機関により異なるため、事前に確認します。一般的に求められるのは以下の書類です。

  • マイナンバーが確認できる書類
  • 給与振込先の口座情報
  • 医師免許証の写し
  • 専門医・認定医の資格証明
  • 健康診断書

雇用契約書・入社承諾書・身元保証書などの提出を求められることもあります。提出期限を守ることが、入職前の信頼につながります。

内定後に医師が注意したいポイント

内定後にとくに注意したいのは、書類の保管・承諾後の安易な辞退・変更時の早期連絡の3点です。

採用条件通知書・労働条件通知書は、紙・データいずれの場合も必ず保管してください。不当な内定取り消しを受けた際の重要な証拠になります。

また、内定承諾後・雇用契約後の辞退は、採用側に大きな迷惑をかけるため避けてください。承諾の返事は、入職の意思を固めてから行います。

やむを得ず辞退や入職日の変更が生じた場合は、判明した時点で速やかに連絡し、調整を相談しましょう。

医師の内定後の流れに関するよくある質問

内定後の進め方について、医師からよく寄せられる質問にお答えします。

内定を承諾した後でも辞退できますか?

法的に辞退が不可能なわけではありませんが、入職準備を進めている採用側に大きな迷惑をかけるため、原則として承諾後の辞退は避けるべきです。迷いがある場合は、承諾前に判断するのが安全です。

内定の返事はいつまで待ってもらえますか?

回答期限の指定がなければ1週間以内が目安です。他院の結果を待ちたい場合は、お礼と具体的な回答日を示して延長を相談します。延長は長くても1週間〜10日程度が一般的です。

内定から入職まではどのくらいかかりますか?

一般的には2〜3か月が目安です。ただし在職中の退職交渉や医局退局を伴う場合は、後任確保・引き継ぎに時間がかかり、さらに長くなることがあります。

【まとめ】内定後の流れを押さえれば、医師の入職はスムーズに進む|迷ったらエムステージエージェント

医師の内定後は、次の順で時系列に進めるのが基本です。

  • 採用条件の確認
  • 内定への返事
  • 入職日の決定
  • 退職(退局)交渉・引き継ぎ
  • 入職準備

年俸制・歩合制の契約書チェック、半年〜1年前の申し出を求められることもある医局退局、後任確保を伴う引き継ぎなど、医師特有の手順を早めに押さえることが、ミスマッチやトラブルの回避につながります。

条件交渉や退職交渉、入職日の調整に不安があれば、医師専門のエムステージエージェントに相談し、内定後の段取りを一緒に整えることをおすすめします。