【常勤医向け】医師の転職活動チェックリスト|準備から退職まで時期別にやることを整理

転職を決めたものの、「何から手をつければいいのか」「順番を間違えていないか」と不安に感じる先生は多いのではないでしょうか。

医師の転職は、一般職よりも契約条件が複雑で、退局の調整や引き継ぎといった手続きも煩雑です。

そのため、やることを「時期別」に分けて一つずつ潰していくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。

本記事では、医師の転職活動を「①開始前(準備)②活動中(応募・面接)③内定後(条件確認)④退職前(円満退職)」の4フェーズに分け、各フェーズでやることをチェックリスト形式で整理します。

専門医資格の更新や退局相談など、常勤医ならではのタスクも各フェーズに織り込んで解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

<本記事のまとめ>

  • 医師の転職活動は「開始前・活動中・内定後・退職前」の4フェーズに分け、時期別のチェックリストで潰すと抜け漏れを防ぎやすい
  • 常勤医は「専門医資格の更新確認」「退局相談」「後任確保」「退職金規程・当直体制の確認」など、非常勤にはないタスクを各フェーズに組み込む
  • 準備段階の「転職の目的・軸の言語化」が活動全体の判断軸になる
  • 契約書の確認や引き継ぎなど、後半のフェーズほど見落としがトラブルに直結するため丁寧に確認する

【全体像チェックリスト】医師の転職活動でやることを時期別に整理

まずは、転職活動の全体像を4つのフェーズで確認しましょう。各フェーズの要点は、以降の章でそれぞれ詳しく解説します。

  • フェーズ①開始前(準備)→目的・軸の言語化/専門医更新要件の確認/スケジュール逆算/退局相談の見通し
  • フェーズ②活動中(応募〜面接)→求人の収集・比較/応募書類の準備/病院見学/面接・条件交渉
  • フェーズ③内定後(条件確認)→雇用契約書の確認/退職金規程・福利厚生の確認
  • フェーズ④退職前(円満退職)→退職(退局)の意思表示/引き継ぎ/返却・各種手続き

医師の転職が一般職と大きく異なるのは、契約条件の複雑さと、退職・入職手続きの煩雑さです。

だからこそ、やることを時期別に分け、フェーズごとに確認していく進め方が役立ちます。

特に常勤(医局所属を含む)の転職には、退局の調整・後任確保・年度区切り・退職金や当直体制の確認など、非常勤やアルバイトにはない論点が多いのも特徴です。

本記事は常勤医を前提に、これらを各フェーズへ織り込んで解説します。

【フェーズ①開始前】転職の準備でやることチェックリスト

このフェーズでは、まだ求人に応募する前の「準備段階」でやることを整理します。

ここを丁寧に進めておくと、後の比較・面接・条件交渉で軸がぶれません。

このフェーズでやることは、以下の4つです。

  1. 転職の目的・軸を言語化する
  2. 専門医資格・キャリアの維持要件を確認する
  3. スケジュールを逆算する
  4. 退局・退職の見通しを立てる

1. 転職の目的・軸を言語化する

最初に取り組みたいのが、「なぜ転職するのか」という目的の言語化です。

当直・オンコール、医局人事、症例数、年収、評価制度など、現職への不満を具体的に書き出します。

そのうえで、それらを「次の職場でどう改善したいか」という前向きな条件に変換します。

条件は「絶対に譲れない条件」と「できれば叶えたい条件」に仕分け、優先順位は3つ程度に絞り込むのがおすすめです。

優先順位が明確だと、複数候補で迷ったときの決め手になります。

エムステージエージェントのコンサルタント調査でも、転職を成功させるポイントの第1位は「転職の目的を明確にしておく」でした。

出典:【調査】スキルより重視されるのは?医療機関が「欲しがる医師」「敬遠する医師」の特徴(Dr.転職なび/エムステージエージェント・常勤担当コンサルタント調査・2023年2月)

2. 専門医資格・キャリアの維持要件を確認する

常勤医ならではの準備が、専門医資格やキャリアの維持要件の確認です。

転職先で症例や指導体制が変わると、専門医の更新(症例数・学会参加・指導医の有無など)に影響することがあります。

現在保有している資格と、取得予定の資格について、更新要件を事前に確認しておきましょう。

常勤先は症例の中心になるため、専門医・指導医・サブスペシャルティをどう維持・取得するかは、施設選びの条件そのものです。

準備段階で整理しておくと、後の施設比較で迷いません。

3. スケジュールを逆算する

転職活動は、入職希望日から逆算してスケジュールを組むと焦らずに進められます。

情報収集・応募・面接・内定・退職交渉・引き継ぎに必要な期間を見積もりましょう。

一般的には、開始から入職まで半年〜1年程度の余裕を見ておくと安心です。

実際に、エムステージエージェントの調査では、転職活動の開始から入職までの期間が「半年以内」だった医師は55.1%(3か月以内32.7%+6か月以内22.4%)でした。半年前後を一つの目安にできます。

Q:今回の転職活動を始めてから入職までの期間はどれくらいでしたか?

出典:Dr.転職なび(エムステージエージェント・会員医師98名・2022年11月)

常勤医は当直・オンコールで多忙なため、活動時間の確保自体に計画が要ります。面談・見学は当直明けを避けて組むなどの工夫が有効です。

また、後任が決まるまで退職できないケースもあります。医師の異動が多い4月や10月など、採用が動きやすい時期も踏まえ、一般職より長めに退職完了までの期間を見込みましょう。

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4. 退局・退職の見通しを立てる

医局に所属している場合は、退局の見通しを準備段階で立てておくことが欠かせません。

退局の意思表示は、まず医局長・教授へ事前相談するのが慣行です。

医局によっては、半年〜1年前の通知を求められることもあります。

一般転職の「1〜2か月前の申し出」とは前提が異なるため、早めに織り込んでおきましょう。

退局は珍しいことではありません。エムステージエージェントが医局所属医師189名に行った調査では、66.7%が「今後、医局を辞めることを検討している」と回答しています。

Q:これからも医局に所属し続けますか?

出典:Dr.転職なび(エムステージエージェント・医局所属医師189名・2023年7月)

一方で、引き留めや時期の調整が起こりやすいのも実情です。スケジュールには余裕を持たせておくと安心です。

【フェーズ②活動中】応募〜面接でやることチェックリスト

このフェーズでは、求人を探し始めてから面接・条件交渉までの「活動中」にやることを整理します。

常勤医は1施設に専従し、院内の目もあります。在職中の活動は、情報管理や日程の組み方にも配慮しましょう。

このフェーズでやることは、以下の3つです。

  1. 求人情報を集めて比較する
  2. 応募書類を準備する
  3. 病院見学・面接に備える

1. 求人情報を集めて比較する

まず取り組むのが、希望条件に合う求人の収集と比較です。

年収・当直回数・症例数・施設タイプ・立地などの希望条件を満たすか確認します。

あわせて、経営状態が安定しているかも、求人票・エージェント情報・病院見学を組み合わせて見極めます。

入職後のミスマッチを防ぐには、給与額だけでなく「仕事内容」「募集背景・前任者の離職理由」まで踏み込んで確認することが大切です。

エムステージエージェントの調査では、転職に失敗したと感じたことがある医師が「事前に確認しておきたかった」と答えた項目は、1位「仕事内容」72.5%、2位「給与」56.3%、3位「募集背景・離職率」41.3%でした。

Q:また転職する機会があったら、事前に確認しておきたいことは?

出典:Dr.転職なび(エムステージエージェント・会員医師352名・2022年10月)

なお、医師の求人には一般公開されない非公開求人が多くあります。エムステージエージェントでは、取り扱い求人の約92%が非公開求人とされています。

条件に合う求人を網羅するため、医師専門エージェントの活用も選択肢に入れましょう。

出典:エムステージエージェント よくある質問(公式FAQ)

2. 応募書類を準備する

次に、履歴書・職務経歴書の準備を進めます。

診療科・症例数・手技件数・専門医資格・学会発表などを整理し、応募先に合わせて職務経歴書をカスタマイズします。

提出前には、誤字脱字・記載漏れを最終チェックしましょう。

複数応募する場合は、志望動機を「共通部分」と「病院ごとの個別部分」に分けて準備すると効果的です。

使い回しによる印象の低下を避けられます。

3. 病院見学・面接に備える

求人票だけでは分からない点は、病院見学や面談で現場を確認することで補えます。

スタッフ間の連携・雰囲気・診療方針などは、実際に足を運んで確かめましょう。

可能であれば、非常勤・スポットで一度勤務してみるのも有効です。

常勤として長く働く前提のため、当直・救急体制、医師の人数や定着状況、診療科の方向性なども現場で確認します。

面接では、退職理由・志望動機・希望年収・専門性・今後のキャリアの5点を、ネガティブにならない言い方で説明できるよう準備します。

年収・当直回数・勤務日数などの条件交渉は、人間関係に影響しないよう医師専門エージェント経由で行うのが無難です。交渉内容は、メールなど記録に残る形で確認しましょう。

【フェーズ③内定後】条件確認でやることチェックリスト

のフェーズでは、内定が出てから入職を承諾するまでに、契約・待遇の最終確認でやることを整理します。

常勤は勤務形態や契約が複雑なため、提示条件と実態の乖離が入職後トラブルを招きやすくなります。

このフェーズでやることは、以下の2つです。

  1. 雇用契約書の内容を確認する
  2. 退職金規程・福利厚生を確認する

1. 雇用契約書の内容を確認する

承諾前に必ず行いたいのが、雇用契約書の内容確認です。

まず、勤務日数・勤務時間・休憩、当直回数/当直料/オンコール頻度、当直明けの勤務扱いが数値で明記されているかを確認します。

あわせて、以下の項目もチェックしましょう。

  • 年収の内訳(基本給・当直料・歩合・賞与の構成比)
  • 契約期間・更新・試用期間
  • 副業/兼業の可否
  • 退職の申し出期限・競業避止義務の有無

「業務の都合により変更あり」など、範囲が曖昧な文言は、入職前にエージェントを通じて確認しておきます。

時間外・休日労働は、医師の働き方改革による上限規制の対象です。なお当直(宿日直)は、宿日直許可の有無や実際の業務内容によって労働時間としての扱いが変わるため、勤務実態とあわせて確認しておきます。

参考:医師の働き方改革(厚生労働省)

2. 退職金規程・福利厚生を確認する

見落としやすいのが、退職金規程と福利厚生の確認です。

常勤は退職金・賞与・社会保険・各種手当の対象です。

ただし、退職金制度の有無は施設によって大きく異なるため、退職金規程・支給条件を内定段階で確認しておきましょう。

エムステージエージェントの調査では、61.8%の医師が「勤務先に医師向けの退職金制度がない」と回答しています。

Q:現在のご勤務先には、退職金制度はありますか?

出典:Dr.転職なび(エムステージエージェント・医師461名・2024年6月)

退職金のほか、社会保険・学会補助・住宅手当・研究日の有無など、年収以外の待遇も含めて入職の可否を判断するのが安心です。

【フェーズ④退職前】円満退職でやることチェックリスト

このフェーズでは、入職先が決まった後、現職を円満に辞めるためにやることを整理します。

常勤は後任確保や受け持ち患者の引き継ぎが伴うため、退職の進め方が次の職場のスタートにも影響します。

このフェーズでやることは、以下の3つです。

  1. 退職の意思を正しい順序で伝える
  2. 引き継ぎを計画的に進める
  3. 返却・各種手続きを済ませる

1. 退職の意思を正しい順序で伝える

円満退職の起点になるのが、正しい順序での意思表示です。

まず直属の上司(医局所属なら医局長・教授)に口頭で相談します。

合意のうえで退職届・退局届を提出する、という順序を守りましょう。就業規則の申し出期限も確認します。

常勤医が抜けると、診療体制に穴が空きかねません。

後任の確保や年度の区切りを踏まえ、現職と相談しながら退職日を調整しましょう。

2. 引き継ぎを計画的に進める

トラブルを防ぐ鍵になるのが、計画的な引き継ぎです。

担当患者・進行中の症例・各種書類を整理し、後任が困らないよう余裕をもって引き継ぎます。

引き継ぎの質は、円満退職とトラブル回避の分かれ目です。

エムステージエージェントが後任として引き継ぎを受けた経験のある医師348名に行った調査では、60.9%が「これまで受けた引き継ぎに不満を感じたことがある」と回答しています。

Q:異動や退職をする方からの引継ぎで、不満を感じたことはありますか?

出典:Dr.転職なび(エムステージエージェント・医師348名・2023年2月)

3. 返却・各種手続きを済ませる

最後に忘れたくないのが、返却物と各種手続きの整理です。

健康保険証・名札・白衣などの返却、私物の整理を進めます。

あわせて、保険・年金・住民税などの切り替えに必要な書類を確認しましょう。

離職票・源泉徴収票など、入職先や手続きで必要になる書類の受け取りも忘れないようにします。

医師の転職活動でよくある抜け漏れと対処法

チェックリストでも見落としやすいポイントと、その防ぎ方を最後にまとめます。

特に注意したいのは、以下の2点です。

  1. 現職と並行して動き、退職を急ぎすぎない
  2. 「合わなかったとき」の出口も想定しておく

1. 現職と並行して動き、退職を急ぎすぎない

まず押さえたいのが、在職中に活動し、退職を急がないという原則です。

内定前に退職を確定させると、条件交渉で不利になったり、空白期間が生じたりしやすくなります。

原則は在職中に活動し、内定・条件確定後に退職を切り出しましょう。

常勤医は医師業界の口コミが回りやすいため、現職・医局に知られないよう、面談日程や情報管理に配慮して進めます。

退職後に活動する場合でも、医師は非常勤・スポットで収入を確保しやすいのが特徴です。生活と専門医要件への影響を踏まえて計画することが大切です。

2. 「合わなかったとき」の出口も想定しておく

あわせて考えておきたいのが、入職後にうまくいかなかった場合の選択肢です。

想定と違っても立て直せるよう、同業態での再挑戦・業態変更・将来の開業など、次の選択肢を頭に置いておきます。

出口が見えていると、新しい環境に踏み出す心の余裕につながります。

また、希望条件が相場と合っているかは、第三者の目で検証しておくと安心です。

コンサルタント調査では、転職が「決まりにくい」医師の特徴として最も多かったのは「希望条件と相場のギャップを理解してくれない」でした。

出典:【調査】スキルより重視されるのは?医療機関が「欲しがる医師」「敬遠する医師」の特徴(エムステージエージェント・常勤担当コンサルタント調査・2023年2月)

【まとめ】医師の転職活動は、時期別チェックリストで抜け漏れをなくすのが近道|迷ったらエムステージエージェント

医師の転職活動は、①開始前(準備)②活動中(応募・面接)③内定後(条件確認)④退職前(円満退職)の4フェーズに分けるのが基本です。

時期別のチェックリストで一つずつ潰していくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。

特に常勤医は、医局への退局相談・後任確保・専門医資格の更新・退職金や当直体制の確認といった、非常勤にはないタスクを各フェーズに組み込みましょう。

自分のケースに合わせて、何を・いつまでに進めればよいかを整理したいときは、医師専門エージェントへの相談が近道です。

非公開求人や条件交渉に強いエージェントにチェックリストを共有すれば、実際のスケジュールに落とし込みながら転職活動を進められます。選択肢に迷ったら、エムステージエージェントに相談してみてください。