今の職場に不満はあるものの、「この程度で転職を考えるのは甘えだろうか」「辞めて後悔しないだろうか」と迷っている医師の方も多いのではないでしょうか。
医師の不満は、当直やオンコール、医局人事、症例数、年収、心身の健康など、複数の要素が絡み合っているため、自分でも何が一番つらいのかを掴みにくいものです。
そこで本記事では、医師特有の5つの不満軸でできるチェックリストを用意しました。
チェックの偏りから「自分の不満の中心」を見える化し、その不満が転職で解決するのか・現職でも調整できるのかを、3つの視点と3ステップで整理していきます。
<本記事のまとめ>
- 自分の不満は「当直・労働時間」「医局・人間関係」「症例・キャリア」「年収・評価」「休日・健康」の5軸でチェックすると中心が見えやすい
- 不満が「職場固有か・働き方そのものか」「一時的か・構造的か」を見分けると、転職で変わる部分と変わらない部分が判断できる
- 辞めどきは「不満を改善したい条件に言い換える→MUST/WANTで優先順位をつける→市場価値と相場を第三者で検証する」の3ステップで見極める
- 当直・休日・医局・人間関係は転職で変えやすく、症例や年収は施設タイプ・契約形態の選び直しで改善余地が大きい
医師の仕事の不満度チェックリスト

まずは、今の不満がどの軸に偏っているかを確認しましょう。
以下の5つの軸について、当てはまるものにチェックを入れてください。チェックが多い軸ほど、あなたの不満の中心に近いと考えられます。
- 当直・オンコール・労働時間に不満がある
- 医局人事・職場の人間関係に不満がある
- 症例数・専門性・キャリアに不満がある
- 年収・評価制度に不満がある
- 休日・心身の健康に不満がある
それぞれの軸には、さらに具体的なチェック項目があります。
次の見出しから軸ごとに3つずつのチェック項目と解説を示すので、自分がどの軸に強く当てはまるかを把握してください。
当直・オンコール・労働時間の不満をチェック
当直やオンコールの負担、労働時間に関する不満は、以下の項目で確認できます。
- 当直・オンコール回数が多く負担が慢性的
- 週の休みが1日以下になることがある
- 時間外の働きが評価や手当に反映されていない
この軸は、働き方を変えることで比較的改善しやすい不満です。
実際、「エムステージエージェント」の調査では、直近1年間の週あたりの休みが「0〜1日」だった医師が39.0%にのぼりました。
Q:直近1年間を振り返って、主なご勤務先における週あたりの休日(有給休暇を除く)は何日くらいありましたか?(常勤先のある医師のみ)

出典:医師の休み方に関するアンケート(Dr.転職なび/エムステージエージェント・会員医師466名・2023年10月調査)
当直なしの勤務や無床クリニックなど、選択肢を変えれば負担を抑えられる余地があるでしょう。
医局人事・職場の人間関係の不満をチェック
医局人事や人間関係に関する不満は、以下の項目で確認できます。
- 医局人事で勤務先や異動を自分で選べない
- 上司・同僚との関係が大きなストレス
- ハラスメント的な言動が日常化している
この軸は、所属や勤務先を変えることで大きく改善できる可能性があります。
「エムステージエージェント」の調査では、現在も医局に所属している医師のうち、約7割(66.7%)が今後について「辞める可能性がある」または「辞めることを具体的に検討している」と回答しています。
Q:これからも医局に所属し続けますか?

出典:医局に関するアンケート(Dr.転職なび/エムステージエージェント・2023年6月調査・有効回答447/医局所属者189名)
望まない異動や人事の不自由さは、医局を離れる選択で変えられる部分が大きいといえます。
症例数・専門性・キャリアの不満をチェック
症例数や専門性、キャリアに関する不満は、以下の項目で確認できます。
- 症例数・経験が積めず専門性が伸びない
- 専門医の取得・更新の要件を満たしにくい
- 3年後のキャリア像が描けない
この軸は、施設タイプや指導体制を選び直すことで改善しやすい不満です。
ただし、症例数の多さだけで転職先を決めると失敗しやすい点には注意が必要です。
指導医の有無や専門医プログラムの整備状況、病院の今後の方向性まで見たうえで判断しましょう。
年収・評価制度の不満をチェック
年収や評価制度に関する不満は、以下の項目で確認できます。
- 業務量に対して年収が見合わない
- 評価制度が不透明で納得感がない
- 昇給・賞与の見通しが立たない
この軸は、施設タイプや契約形態を見直すことで改善余地が大きい不満です。
年俸制・歩合制・自由診療など、報酬の決まり方によって収入の構造は変わります。
まずは自分の経験年数や専門性に対する相場を把握し、提示条件を書面で確認しておくことが前提です。
休日・心身の健康の不満をチェック
休日の取りやすさや心身の健康に関する不満は、以下の項目で確認できます。
- 有給を取りづらい
- 心身の不調が増えた
- 気軽に相談できる相手が職場にいない
この軸は、5つの中でも優先して向き合うべき不満です。
「エムステージエージェント」の調査では、仕事上で何らかのストレスを感じている医師は68.6%にのぼりました。
Q:現在仕事上のストレスや、それに起因する心の不調を感じていますか?

さらに、ストレスやメンタル不調を要因に休職・転職した医師は4人に1人(24.5%)に達しています。
Q:仕事上のストレスや心の不調が要因で休職をしたり、転職したりした経験はありますか?

出典:医師のストレスマネジメントに関するアンケート(Dr.転職なび/エムステージエージェント・会員医師452名・2023年9月調査)
心身の不調は無理を重ねるほど回復に時間がかかるため、ほかの軸より早めに対処したい部分です。
チェックした不満が「転職で解決するか」を見分ける3つの視点

チェックで不満の中心が見えたら、次はその不満が「転職で解決するものか」を見極めます。
以下の3つの視点で整理していきましょう。
- 「今の職場の問題」か「医師の働き方そのものの問題」か
- 「一時的な不満」か「構造的な不満」か
- 勢いで辞める前に「現職でできる調整」がないか確認する
1.「今の職場の問題」か「医師の働き方そのものの問題」か
その不満が、今の職場に固有のものか、医師の働き方そのものに根ざすものかを切り分けましょう。
医局人事や特定の人間関係、その病院だけの診療体制が原因なら、転院・転職で改善しやすいといえます。
一方、当直そのものの負担のように医師という働き方に共通する不満は、職場を変えても根本解決にならないことがあります。
その場合は、当直なしの勤務や非常勤、産業医など「働き方の種類」を変える選択肢まで視野に入れると現実的です。
2.「一時的な不満」か「構造的な不満」か
その不満が、一時的なものか構造的なものかを見分けましょう。
繁忙期の忙しさや一過性のトラブル、異動直後の不適応などは、時間の経過で和らぐ一時的な不満であることが多いといえます。
これに対し、制度・体制・キャリア構造に根ざした不満は構造的なもので、動く価値が高いといえるでしょう。
今の状態が一時的か構造的かを冷静に見極めることで、勢いだけの転職を避けられます。
3.勢いで辞める前に「現職でできる調整」がないか確認する
転職に踏み切る前に、現職のなかで打てる手がないかを一度確認しましょう。
上司への相談、担当業務や勤務シフトの変更、休職制度の利用など、職場を変えずに状況を改善できる余地は意外と残っているものです。
これは我慢を勧めるものではなく、辞めたあとに「もう少しやれることがあったかもしれない」と後悔しないための確認です。
打てる手を確認したうえで、それでも変わらないと判断できれば、転職への迷いも整理されます。
不満の種類別に見る「転職で変えられること・変わりにくいこと」

不満の中心が分かっても、「転職で本当に変わるのか」が分からなければ動き出せません。
ここでは、不満の種類ごとに転職で変えやすい部分と変わりにくい部分を整理します。
- 当直・オンコール・休日は転職で変えやすい
- 医局・人間関係は転職先選びで決まる
- 症例・専門性は施設タイプの選び直しで改善できる
- 年収・評価は施設や契約形態で変わる
当直・オンコール・休日は転職で変えやすい
当直・オンコール・休日に関する不満は、転職で比較的変えやすい部分です。
当直なし、週4日勤務、無床クリニック、健診、産業医など、負担を抑えた働き方の選択肢が複数あります。
「エムステージエージェント」の調査では、休みやすい勤務先への転職を考えた経験がある医師が70.2%、実際に転職した医師が18.5%でした。
Q:これまでに「休日が取りやすい勤務先」への転職を考えたご経験はありますか?

出典:医師の休み方に関するアンケート(Dr.転職なび/エムステージエージェント・会員医師466名・2023年10月調査)
ただし、休みやすさだけを最優先にすると、やりがいや収入の面で後から後悔するケースもあるため、優先順位の整理は欠かせません。
医局・人間関係は転職先選びで決まる
勤務地や異動、裁量に関する不満は、医局を離れる、あるいは勤務先を変えることで大きく変わります。
ただし、人間関係の悩みは転職先でも起こりうるため、応募前の病院見学で職場の雰囲気を見極めることが重要です。
なお、医局からの退局は引き止めなどのトラブルになりやすい面があります。
退局を伴う転職を考える場合は、退局の手順や時期をあらかじめ確認しておきましょう。
症例・専門性は施設タイプの選び直しで改善できる
症例数や専門性に関する不満は、施設タイプを選び直すことで改善できます。
大学病院、高度急性期病院、地域中核病院など、施設の機能によって積める症例や経験は大きく異なります。
ただし、症例数の多さだけで選ぶのは禁物です。
指導医の有無や専門医の更新要件、病院の今後の方向性まで確認したうえで、自分のキャリアに合う施設を選びましょう。
年収・評価は施設や契約形態で変わる
年収や評価に関する不満は、施設タイプや契約形態を変えることで改善余地が大きい部分です。
一方で、当直のない勤務へ移ると当直手当が減り、短期的には年収が下がることもあります。
目先の額面だけで判断せず、勤務負担と収入のバランスを中長期で比較して検討することが大切です。
辞めどき・続けどきを見極める3つの判断ステップ

転職で変えられる部分が整理できたら、最後に「辞めるか・続けるか」を判断します。
以下の3ステップで、自分なりの結論を出していきましょう。
- 不満を「改善したい条件」に言い換える
- 絶対条件(MUST)と譲歩条件(WANT)を分けて優先順位をつける
- 自分の市場価値・相場を医師専門エージェントで検証する
ステップ1 不満を「改善したい条件」に言い換える
まず、抱えている不満を「どう変えたいか」という前向きな条件に言い換えてみましょう。
たとえば「当直が多い」という不満は、「当直免除」または「当直翌日の休み確保」という条件に置き換えられます。
この言語化を飛ばすと、転職活動の軸が定まらず、求人選びでも迷いが生じてしまいます。
不満を裏返して条件にする作業は、辞めどきを見極める出発点になるのです。
ステップ2 絶対条件(MUST)と譲歩条件(WANT)を分けて優先順位をつける
次に、言い換えた条件を絶対条件(MUST)と譲歩条件(WANT)に分けます。
絶対に譲れない条件は3つ程度に絞り、優先順位をつけておきましょう。
実際には条件同士にトレードオフがあり、すべてを満たす100点の職場はほとんど存在しません。
何を取り、何を手放すのかを自分で決めておくことが、後悔しない選択につながります。
ステップ3 自分の市場価値・相場を医師専門エージェントで検証する
最後に、自分の市場価値と相場を第三者の視点で検証します。
専門医資格や経験年数、症例数が転職市場でどう評価されるのか、希望条件と相場にギャップがないのかは、一人では把握しづらい部分です。
医師専門のエージェントに相談すれば、希望条件が現実的かどうかを客観的に確認できます。
迷いを一人で抱え込まず、外部の視点を取り入れることで、辞めどき・続けどきの判断はぐっと進めやすくなります。
【まとめ】医師の不満度チェックで転職すべきか・続けるべきかを整理しよう|迷ったらエムステージエージェント
転職すべきか迷ったときは、感情のまま動くのではなく、不満を整理することから始めましょう。
- 5つの不満軸でチェックし、不満の偏り(中心)を把握する
- 「職場の問題か・働き方の問題か」「一時的か・構造的か」を見分ける
- 「不満を条件に言い換える→MUST/WANTで優先順位→市場価値・相場を第三者検証」の3ステップで判断する
このプロセスを踏めば、勢いで動いて後悔することも、我慢し続けて消耗することも避けられます。
それでも判断に迷うときは、医師のキャリアに詳しい第三者に相談するのが近道です。
転職すべきか整理したい先生は、希望条件を求人や相場と照らし合わせられるエムステージエージェントにご相談ください。