医師の働き方、誰に相談すべき?常勤・非常勤・スポット勤務の選び方

「現在の働き方を変えたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」という悩みを抱えていませんか。医師の仕事は責任が重く、勤務時間の長さや当直の有無、それに見合う収入の確保、家庭や私生活との両立など、考慮すべき論点がたくさんあります。

どこから手をつければ自分の理想の生活に近づけるのか、一人で悩み続けても答えが出ないことは少なくありません。しかし、現在の問題点を明確にし、条件を整理したうえで適切な相手に相談をすれば、理想の環境に向けてスムーズに動き出すことができます。

この記事では、医師が働き方に悩む背景や事前に整理すべき条件、各勤務形態の違い、および失敗しない相談先の選び方について解説します。

医師が働き方に悩む背景

多くの医師が自身のキャリアや日々の労働環境について見直しを迫られています。まずは、医師がどのような点に負担を感じ、なぜ働き方の見直しを検討しているのか、その背景について具体的なデータをもとに見ていきましょう。

医師の働き方を圧迫する3大ストレス

医師が特に強いストレスを感じる要因は、3つあると言われています。

エムステージが実施した「医師のストレスマネジメントに関するアンケート」によると、医師の働き方を圧迫するストレス要因の第1位は「業務量」でした。続いて「給与への不満」、「仕事と家庭の両立」という結果になっています。

例えば、毎日の外来診療や病棟管理に追われて十分な休息が取れないまま、夜間の当直対応や休日出勤が重なる状況が、心身の負担を増大させる原因となっています。

働き方改革によって変化した収入構造

2024年4月に施行された医師の働き方改革は、時間外労働の上限規制(※1)によって医師の健康を守ることを目指したものです。しかし一方で、医師が得られる収入にも影響しました。

エムステージが2024年に実施したアンケートデータによると、時間外手当の減少に伴う年収確保への対策として、「宿日直許可(※2)のあるアルバイト」を検討または実施している医師が28.6%いました。

これまで勤務医として得られていた時間外手当が規制によって減少した分を、他の医療機関での非常勤勤務によって補おうとするなど、収入を維持するための新たな工夫を迫られている医師が増えています。

※1時間外労働の上限規制:原則として年960時間、特定の水準の場合は年1860時間までとする規制。
※2宿日直許可:労働基準監督署長から許可を得ることで、宿直や日直の時間を通常の労働時間から除外する仕組み。

【参考】医師の働き方改革の制度について(厚生労働省)
URL:Https://c2-sHinsasosHiki.mHlw.go.jp/system/

医師の働き方は誰に相談すべきか

今の働き方に違和感を抱いていても、「周囲に相談して転職を考えていることがバレたら気まずい」「自分のわがままな希望を受け入れてくれる環境なんて本当にあるのだろうか」と、一人で不安を抱え込んでしまいがちですよね。

一歩を踏み出すためには、まず「誰に相談するか」が極めて重要です。相談先によって、得られるアドバイスの性質やメリット・デメリットは異なります。それぞれの特徴を正しく理解し、今のあなたの心境や目的に適した相談先を見極めましょう。

相談先主なメリットデメリット・注意点
職場の上司・同僚内部の事情を理解しており、組織内での配置転換などの調整がスムーズ。一個人の意見であることには留意する。引き止められるリスクも。
公的機関(医師会等)営利目的ではないため中立的。ドクターバンクなど無料で手厚い支援がある。民間のサービスに比べると、求人のスピード感や選択肢の幅が限られる。
民間の専門サービス非公開求人が豊富。個人では難しい給与・勤務条件の交渉や、規則確認を代行。担当エージェントとの相性や、サービスによってサポートの質にバラつきがある。

職場の上司や同僚への相談

身近な相談相手となるのが、現在所属している医局の教授や、勤務先の上司、あるいは信頼できる同僚です。学内の事情や病院内部の状況をよく知る相手であるため、組織内での配置転換や条件緩和の交渉を行う際には適した相談先となります。

ただし、外部の求人情報や市場全体の動向に関する客観的な情報を得ることは難しく、退職や転職の意思を早期に伝えてしまうことで引き止めにあい、関係性が気まずくなる懸念もあります。

組織の外に目を向け、より広い視野で環境を変えたい場合は、医師の転職や働き方に特化した専門の相談サービスを利用すると良いでしょう。

医師会・大学・行政による相談窓口

医師会や大学、行政機関は、働き方に関する悩みやキャリア相談に応じる支援窓口を設けています。ライフステージに応じた職場選びのサポートや職業紹介を行っている窓口もあり、無料で利用できるものが多い点が特徴です。

日本医師会が運営する「ドクターバンク」は、厚生労働大臣の許可を受けた無料の職業紹介事業で、日本医師会員でなくても登録でき、登録料・紹介手数料も一切かかりません。担当コーディネーターが一人ひとりの状況をヒアリングし、就業希望条件に合った医療機関をオーダーメイドで紹介するほか、就業開始後の相談にも継続して対応しています。

民間の医師専門転職・キャリア相談サービス

民間の専門サービスでは、一般には公開されていない豊富な求人情報を有しているだけでなく、個人では行いにくい給与交渉や勤務条件の詳細なすり合わせ、所属先のアルバイト制限の確認までサポートしてもらえます。

公的な相談サービスも民間の相談サービスも、情報収集だけを目的とした問い合わせから始めることができます。

働き方を相談するときに整理したい4つの条件

自身の理想とする働き方を実現するためには、他者に相談する前の段階で、自分自身の求める条件を明確にしておくことが重要です。ここでは、事前に整理しておきたい4つの条件を解説します。

条件1勤務時間・当直・オンコール頻度の希望を整理する

はじめに、自身が対応可能な労働時間と、肉体的な負担の限界値を正確に把握します。週全体の勤務日数だけでなく、1日あたりの勤務時間、さらには当直やオンコールを月に何回まで受け入れられるかを切り分ける必要があります。

例えば、「平日の日勤帯のみの勤務とし、当直やオンコールは一切免除を希望する」のか、あるいは「ある程度の回数制限付きであれば当直業務も対応できる」のかといった具体的な基準を定めておきます。

条件2常勤・非常勤で変わる収入水準と希望年収のギャップ

次に、生活を維持し、将来の設計を立てるために必要な希望年収を算出します。ここで混同しやすいのが「常勤」「非常勤」「スポット勤務」の仕組みや特徴の違いです。

勤務形態収入の仕組み主なメリット主なデメリット
常勤月給・賞与制社会保険の充実、キャリアの一貫性時間の融通が利きにくく、負担が集中しやすい
非常勤時給・日給制時給単価が高め、曜日や日数を固定できる勤務枠がないと収入が発生しない、福利厚生が限定的
スポット勤務1日・1当直単位の固定給空いたスキマ時間を活用しやすい継続的な収入保障がない

常勤とは、特定の医療機関とフルタイムの雇用契約を結び、月給や賞与が保障される形態を指します。一方、非常勤とは、勤務時間や日数に応じて時間給や日給が支払われる形態を指します。常勤は安定性が高い反面、時間の融通が利きにくいという特徴があります。

非常勤は時給単価が高めに設定されていることが多いですが、勤務がなければ収入は発生しません。

さらに、特定の日のシフトカバーや当直、健診業務など、1日単位で柔軟に働く「スポット勤務」という選択肢もあります。スポット勤務は、常勤先に籍を置きながら「今週は土曜日の午前中だけ空いているから外勤を入れる」といったスキマ時間の有効活用や、ライフステージの変化に合わせて一時的に縛りのない働き方をしたい医師に適した形態です。

条件3非常勤・スポット勤務に影響するアルバイト制限の確認

現在の職場に籍を残したまま、外部での外勤(アルバイト)を組み合わせて働くことを考える場合、現在所属している機関の就業規則を必ず確認しましょう。

特に、大学の医局に籍を置いている場合や、公立病院などで公務員に準ずる扱いとして勤務している場合は、副業やアルバイトに厳格な制限や禁止規定が設けられています。事前の許可手続きを得ずに外部で勤務をしてしまうと、規則違反として処分を受けるリスクがあります。

条件4育児・介護・研究との両立など、ライフステージ別の条件

自身の現在のライフステージにおいて、仕事以外にどれだけの時間を割く必要があるかを整理します。育児や介護、あるいは大学院での研究活動など、個人の状況によって優先すべき事項は異なります。

例えば、「子どもの保育園へのお迎えがあるため、平日の17時以降は勤務できない」といった具体的な生活スケジュールを想定します。私生活とのバランスを保つために絶対に譲れない条件をリストアップしておくことで、相談の際にぶれることがなくなります。

医師の働き方を見直したいなら、まず相談から始めよう

医師の働き方に悩む背景には、業務量・収入・両立の難しさなど複数の要因が絡み合っています。

もし今の働き方に迷いながらも、「何から始めればいいかわからない」「忙しくて余裕がない」と一歩を踏み出せずにいるなら、一人で抱え込まずに、まずは医師専門の相談サービスに今の心境や希望条件をそのまま伝えてみてください。あなたに寄り添いながら、理想のライフスタイルを叶える新しい働き方を一緒に探すことができます。

まずは気軽に、プロへの相談から始めてみましょう。