求人に応募する際に必ず行うのが応募書類の作成です。応募書類の1つである「職務経歴書」は、ご自身のキャリアやスキル、経験を採用担当者に伝えるために作成します。
とはいえ、「履歴書と何が違うのか」「どのような内容を書けば評価されるのか」と迷われる先生も多いのではないでしょうか。
この記事では、書類選考を通過するための職務経歴書の基本ルールや経歴整理のコツを解説します。
医師の職務経歴書作成の基本
まずは、職務経歴書を作成する前に押さえておきたい前提知識を解説します。
履歴書と職務経歴書の役割の違い
職務経歴書を作成するにあたり、まず正しく理解しておきたいのが履歴書との役割の違いです。
履歴書は、学歴や職歴などの「事実」を時系列で正確に伝えるための書類です。一方、職務経歴書は、これまでの具体的な業務内容や症例数をもとに、ご自身の「実力や強み」を応募先にアピールするための書類という明確な違いがあります。
そのため、職務経歴書では事実の羅列にとどまらず、ご自身の強みや専門性を相手に分かりやすく伝える工夫が求められます。
| 項目 | 履歴書 | 職務経歴書 |
| 主な内容 | 学歴・職歴など「事実」の伝達 | 経験・スキル・強みなど「実力」のアピール |
| 記載内容 | 学校名、入退職の年月、基本情報など | 具体的な業務内容、症例数など |
職務経歴書の作成形式
職務経歴書はパソコンで作成します。フォントは統一し、A4サイズの用紙2枚から4枚程度に収めます。
採用担当者が書類選考で重視するポイント
医療機関の採用担当者が職務経歴書で特にチェックしているのは、「自院が求めている具体的なスキルや診療経験(即戦力性)を本当に備えているか」という点です。
具体的には、単に在籍していた医療機関名を追うだけでなく、以下のような詳細な実績から入職後の活躍イメージを測っています。
- 担当してきた主な疾患や、具体的な症例数・手術数
- 外来・病棟管理・当直などの勤務密度や、チーム内での役割
- 保有している専門医・指定医などの資格
経歴をただ網羅するのではなく、応募先の医療機能(急性期、回復期、地域密着型クリニックなど)を事前にリサーチし、「相手が今、最も欲しがっている手技や経験」にスポットライトを当てて記載することが、選考通過率を高めるコツと言えます。
医師の職務経歴書を構成する主な項目
職務経歴書は、履歴書ほど厳密に形式が決まっているわけではありません。しかし、「これだけは押さえておきたいという点」があります。
医師が求人に応募するなら必ず書いておきたい項目は以下のとおりです。
- 職務要約:これまでの経歴や主な経験を200文字~300文字でまとめます。
- 職務経歴:勤務先や診療科、担当業務を記載します。現場経験を伝えるために学んだことやエピソードも交えるのがポイントです。
- 症例数・手術件数・可能手技:過去の主な疾患の症例数や、執刀あるいは助手として参加した手術件数を記載します。
- 所有する資格・専門医・認定医:指定医資格や産業医資格など、応募する業務に関連する資格を記載します。
- 所属学会・論文・学会発表:現在所属している学会名や、これまでに発表した主要な論文、学会での発表実績を記載します。
- 自己PR・志望動機:求人に応募したいと考えた理由や、自身の強みを文章で説明します。
職務経歴書に載せる経験・スキルの書き方
いざ職務経歴書を作成しようとしても、どこから書き始めるべきか悩む先生方も多いと思います。特に、自身の経験や持っているスキルを可視化するのは大変です。単に事実だけを並べるのではなく、そこで学んだことやエピソードを具体的にまとめる必要があります。
ここからは、職務経歴書の中でも特に苦戦しやすい、「自身の経験やスキル」に関連する部分の書き方を3つのステップに分けて解説します。
Step1.評価に繋がる保有資格・専門スキルを洗い出す
まずは所有している資格を整理しましょう。学会認定の専門医や指導医だけでなく、業務に関連する資格は漏れなくリストアップします。
- 各種指定医・標榜医(精神保健指定医、麻酔科標榜医など)
- 実務に活かせる資格(日本医師会認定産業医、人間ドック健診認定医など)
- 各種救急蘇生コースのプロバイダー(BLS、ACLS、JATECなど)
職務経歴書には正式名称で書くことになるため、整理の段階から正式名称で書き留めるようにしましょう。
続いて、専門スキルを洗い出します。単に「自分ができること」を並べるのではなく、医療機関側が任せたい業務(外来・病棟・手術・検査など)に直結する形で切り出すのがポイントです。
以下の視点で振り返ってみてください。
- 単独で完結できる手技・手術・検査(例:上部・下部消化管内視鏡検査、腹腔鏡下胆嚢摘出術 など)
- 強みを持っている特定の疾患管理や治療アプローチ(例:持続血糖測定(CGM)を用いたインスリン調整、急性期における全身管理 など)
Step2.経験した症例数や手技を具体的な数値へ変換する
資格を洗い出したら、次はそれを数値化します。「〇〇の対応が可能」といった抽象的な表現ではなく、「過去〇年間で上部消化管内視鏡検査〇件の対応」「一般的な内科外来で半コマあたり〇名程度の診察を経験」など、可能な範囲で数字を用いると説得力が出やすいです。
Step3.指導・役職経験をピックアップする
臨床スキル以外の「組織への貢献度」も、採用の成否を分ける重要なアピール要素です。特に常勤や中堅以上の医師に対して、採用側は「周囲と協調して組織を動かせるか(マネジメントやリスク管理の意識があるか)」を重視しています。
自身の経歴から指導・役職経験を正しく見つけ出し、職務経歴書に落とし込むための方法を解説します。
まずは、これまで自分が「診察室の外で時間を割いてきたこと」を、以下の2つの視点で振り返り、書き出す素材を探します。
- 「育成・教育」の視点:後輩医師や研修医、コメディカルに対して、知識や技術を共有した経験(例:指導医としての関わり、勉強会の講師、業務マニュアルの作成など)
- 「組織運営・リスク管理」の視点:病院や診療科を円滑に回すために参加した活動(例:各種委員会への参画、電子カルテ導入などのシステム改善、クリニカルパスの改訂など)
書き出す素材を洗い出せたら、採用担当者があなたの動き方を具体的にイメージできるよう、以下の3つの要素をセットにして文章(または箇条書き)に落とし込みます。
- 対象・場:どこで、誰に対して行ったか
- 実際の行動:その中で自分はどのように関わったか、どんな役割を果たしたか
- 成果・影響:それによって組織や周囲にどのような変化・メリットがあったか
求人に合わせた職務経歴書の書き方応用
職務経歴書は、応募先の求人に合わせて多少アレンジを加えるのが基本です。応募先が求めていそうなスキルを深掘りしたり、関係が薄そうな点は簡潔にまとめ直したりと変化させます。
ここからは職務経歴書の書き方の応用テクニックについて解説します。
求められる役割に応じて強みにメリハリをつける
医師の求人は常勤のほか、非常勤やスポット勤務などがあります。雇用形態によって採用側が重視している点が少しずつ異なっているため、雇用形態に合わせて記載内容もアレンジしましょう。
常勤の求人では、専門医資格や手術件数といった臨床実績だけでなく、後進の指導やマネジメント経験まで深く掘り下げて記載することが重要です。
一方、非常勤やスポットの求人では、組織への長期的な貢献よりも「その日の現場をトラブルなく回せるか」がポイントになりやすいです。そのため、対応可能な疾患の幅や診療ペースを前面に押し出し、マネジメントなどの関係が薄い要素は簡潔にまとめましょう。
相手の欲しいスキルを主軸に置いてアピール内容を変える
求人の応募先が急性期病院なのか、療養型病院や地域クリニックなのかによって、求められる資質やスキルは変わります。より採用担当者に刺さる内容にするためにも、アピールする項目は求人ごとに微調整しましょう。
例えば、かかりつけ医機能を重視するクリニックに応募する場合、高度で特殊な急性期の手技を詳細にアピールしても採用担当者には響きづらいです。医療機関の特徴を事前にリサーチし、相手が欲しがっている経験を主軸に据えましょう。
書き方をマスターして完成度の高い職務経歴書を作成しよう
今回は医師向けに職務経歴書の書き方を解説しました。職務経歴書は、ご自身のキャリアや専門性、そして診療に対する姿勢を応募先の医療機関に伝えるための書類です。履歴書との違いを意識しながら保有資格や具体的な症例数を相手のニーズに合わせて記載すれば、あなたの持つ強みが採用担当者に伝わります。
しかし、日々の多忙な臨床の合間を縫って、過去の経歴を思い出しながら書類をブラッシュアップしていく作業は、想像以上に時間とエネルギーを要するものです。もし「客観的に自分の強みを言語化するのが難しい」「求人に応じたアレンジをする時間が足りない」と感じる場合は、医師専門の転職エージェントが提供する無料の作成サポートを頼るのも良いでしょう。専任のコンサルタントにこれまでの大まかなキャリアを伝えるだけで、医療機関側の視点を取り入れた完成度の高い職務経歴書を代わりに形にしてくれます。
この記事で紹介した手順をベースに、ぜひプロの力も適宜活用しながら、納得のいく転職活動を進めてください。